東京都庭園美術館で開催中の「ブラジル先住民の椅子:野生動物と想像力」展を鑑賞。
庭園美術館は日本の昔の朝香家のプリンスがフランスから日本に戻って来たあと白金台に建設したアール・デコを多用した邸宅で1947年まで住居として用いられたもの。いまは東京都の所有となり国の重要文化財にも指定されている美しい建造物。
過去にも何回か来ている場所なので、今回は美しい建物自体を鑑賞するより展示物にフォーカス。
建物に入りすぐの応接エリアの床は白と黒のマーブルを組み合わせた床。
そこにカエルの椅子があった。
非常にユーモラスで思わず微笑んでしまう。
全ての椅子は、ブラジル先住民のアーティストたちににより大木から切り出した一本造りで継ぎ目はない。
これはなんと「シカ」なのだそうだ。
アーティストの想像力でデフォルメされた野生動物たちのフォルムに圧倒される。
ブラジル北部で暮らす先住民の人々により現在も作られているこれらの椅子は、日常生活のなかで使用したり宗教などの儀式の時に用いるなど伝統と歴史的生活に深く結びついた位置付け。しかし、だからといって伝統に縛られることのない自由な表現はアーティストの感性にゆだねられているという。
約90点の作品がが展示されているが、どれも、椅子というよりは、「座ることも可能な木の彫刻」なのであった。
見応えのある展覧会に深い満足を得た1日となった。