「英国王のスピーチ」

エドワード8世がシンプソン夫人との「世紀の恋」のため王位を放棄したことにより本人は望まない王位を継承することになったアルバート王子が幼少のころから悩まされていた吃音を克服して国民に勇気を与えるスピーチを行うまでを描いた作品。
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バーティー(アルバート王子、後のジョージ6世)は、子供のころからひどい吃音に悩まされていた。というのも左利きの矯正、ギプスを用いたX脚の矯正などが心の障害になったのが理由と言われている。人前で話すのも不得意だし内気な性格もあり王になる素質はないとみなされ王になる教育も受けていなかった。しかし国王ジョージ五世の死後、王位継承権一位のエドワード8世は王位について一年足らずで離婚暦のある米国人女性シンプソン夫人と結婚するために王位を放棄したのでアルバートは、本人の意に反して国王とならざるをえなくなったのであった。
アルバートは吃音の治療を専門家より受けていたが良い結果は出ておらず国王に命じられて行った、王子としてのいくつかのスピーチ(演説)は惨憺たるものであった。
戦争に突入直前の英国にはリーダーが必要で、リーダーは立派なスピーチが出来るのが必須。そこでバーティーの妻エリザベス(後の“クイーン・マザー”:現エリザベス女王の母親)はエキセントリックな話し方セラピストを探し出して夫にセラピーを受けるように手配する。オーストラリア出身のセラピスト、ライオネル・ローグは普通のスピーチ・セラピーとはかなり違ったアプローチで最初は抵抗するバーティーだったが、セラピーの効果に気づいたこともあり、2人の間には徐々に信頼関係が芽生える。そして、バーティーの吃音はどんどん改善されていく。観衆の前でのスピーチはまだつかえたりどもったりすることもあったが、ライオネルとの会話なら滑らかにできるようになった。
英国がナチス・ドイツとの戦争に突入、国王は国民にラジオ演説を行う事になった。事前にライオネルと入念に練習した上でラジオ放送室に入るバーティー。ライオネルも一緒だ。「友人である僕にだけ話すつもりでリラックスして」とライオネル。そして、バーティーは9分にわたる原稿を力強く読み、戦いのために国の一致団結を提唱、国民を勇気づける見事なスピーチを行った。ライオネル、バーティーの家族、彼の政府およびチャーチルのサポートによりバーティーはようやくドモリを克服、自信も芽生え、戦争という難しい時代のリーダーを務め、国民に愛される王になった。
バーティー(英国王ジョージ6世)とライオネルはその後もゆるがぬ信頼関係と友人関係をずっと維持したのであった。

Colin Firth ... King George VI
Helena Bonham Carter ... Queen Elizabeth
Geoffrey Rush ... Lionel Logue
Guy Pearce ... King Edward VIII
Director: Tom Hooper

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言語セラピスト役のジェフリー・ラッシュが良い味だが、なんといってもコリン・ファースが良い。最近観た映画の迷うことなくベスト!